次期首相候補に思うこと
ちょっと今回は自分の備忘録的に。
菅氏が正式に総裁選への出馬を表明されました。
会見やテレビ出演でご自身の目指す方向性や国家像など語っておられましたがその中で印象的だったのは、フリップに書いてドンと掲げられた
「自助・共助・公助」の文字。
ご自身がこれをモットーに生きて来られたというアピールなら良かったのですが、どうもそうではなく国民に対する
「大変な時や困った時はまず自分で何とかする、それでもダメなら周囲の人と助け合う、それでもダメなら国を頼れ」
というメッセージのようなのです。
何だか小学校や中学校に掲げてある校訓なんかで見たことあるような…という印象ですが、今日び学校のいじめ問題だって「一人で悩まないですぐ相談して!」と諭される世の中にあって、コロナを筆頭に生活基盤そのものを脅かされる人が多い中、いまこのタイミングでこれを掲げる、何というか自分たちが散々やらかした挙句にそっぽを向いた国民に対して拗ね切って「それなら勝手にやれよ」とでも言いたげな突き放し方に、隔絶感とガッカリ感しか持たなかったのです。
大抵の人は、困ったなとなればまずは自分で何とかしてみようと試みるはずで、それすらしない完全他力本願派の少数の方々へ向けてのメッセージだったのかな?とも思うのですが、いずれにしても会見で長々とご自身のいかに苦労人かつ叩き上げ人生であったかのアピールをされた割にどしょっぱなから放つ「別に国民に親身に寄り添う気はありません」感、さらに前政権での問題点を突かれれば以前と何ら変わらぬすっとぼけたかわし方…
こうなるとデキレースによってこの方が総理になったその後のことを想像するに、本当に「悪い意味での安倍政治の踏襲にしかならないのだろうな」としか思えません。
であるからこそのデキレースなのでしょうが。
せっかく二世でもボンボンでもなくいわゆる一般庶民の出自をお持ちで自らそれを誇っておられるのなら、たとえピンチヒッターと言えども「安倍政権とはこうも違う」というのを前面に押し出す勇気を持ってもいいのにと思いますが、政権のスポークスマンとしてあれだけ放漫にやられた後では逆に空々しいと判断されたのでしょうか。
またこれも安倍氏と同様なのですが、基本的に原稿にばかり目を落として記者や質問者の目を見て話すことが少ないのと、相手を皮肉る時だけ笑顔を見せる、これは誰に対しても悪い印象しか与えないのでどうにかならないかなあと思いました。
真面目な場所で必要以上にヘラヘラしろと言うのではなく、基本仏頂面なのならどんな場面であっても仏頂面を通した方がマシということ。
政治に関係のない場面ではニコニコしてらっしゃるのもお見かけするので、トップに立たれのるなら表情コントロールも必要ではないでしょうか。
そしてこれはいわゆる選挙というものに出られる方全てにお願いしたいのですが、出馬表明などで国民に対してアピールしたい時、「これまでの功績」よりも「これからの政策」を語ることにより重きを置いて欲しいのです。
逆の人が多過ぎる。
自分はこんなにすごい、という話を延々と展開することにあまり得はありません。
そこにはあっさり触れて、自分は国の進むべき道についてこれだけ緻密に考えているのだということを強くアピールする方が潔く、より好感が持てると思うのです。
今回の菅氏の会見では、語る時の気持ちの込め方も含めて圧倒的にご自身の出自と功績に重きを置いた印象で、それに対しての目指すところが「地方分権」ではあまりにぼんやりふんわりしていて何も感じるものがありませんでした。
ピンチヒッターとは言え叩き上げで一国の長にまでなるのは容易なことではないでしょう。
関係者による菅氏評で多いのが「慕ってくる人やしっかり向き合おうとする人にはとても優しく、真摯に応えてくれる」というものですが、これもまた安倍氏と同じ。
政界ではこういう人が「人望、人徳がある」と言われ、頂点に立つ資格ありと見なされるのですね。
しかし個人的には自分と考え方や思想を異にしていたり、立場上敵対するような相手にも胸襟を開き、敬意と誠意を持った良い関係性を築ける人こそ人望が厚いと感じますし、自分を慕ってくる人を可愛がるのは別段人徳者でなくとも至極当然のことのような気がしますが。
早くも派閥間のえげつない駆け引きの渦中におられるようですが、無事総理になられた暁にはなるべく目線を国民に向けて下さいますようお願い致します。
期待薄ではありますが。