これはダメだと思った件
年末から在宅でとある新しい仕事をしております。
現政府のスローガンには全く沿わない
「出来ればガツガツ働きたくない」
「さっさと隠遁生活を送りたい」
という元来が怠惰な性質なものですから、果たしていつまでやるのかは分からないものの、まだもう少し継続予定なのですが。
先日、体調不良でどうしても仕事をするのが難しい状態だった為やむを得ず休ませてもらうことにし、まず担当の方にその旨連絡を入れ、さらにその上の管理者にも電話連絡が必要だということで、少々面倒だなと思いながらもしんどい体で電話をしました。
その管理者は以前に、社内用の周知掲示板のようなところに勤務の質の悪化(主に無断欠勤や遅延)についてものすごいボリュームの熱い一人語りを書き込んでおり、今後欠勤連絡は担当のみならず直接自分にも寄越すようにとの指示もそこに記されていました。
私としてはそれを目にして「若いながらも(アイコンが顔写真なので分かる)、とても熱血で真面目な人なんだな(ちょっと暑苦しいけど)」という印象を抱いたのですが、
いざ電話をしてみると…
まずは初めて話す相手なのでこちらの所属などの情報を少し伝えつつ挨拶をし、それから体調不良で休みたい旨を伝え終えるまでの間に彼が口にしたのは最初に電話に出た時の
「○○(名前)です」
というボソッとした名乗りのみ。
その後は相槌のひとつも打たずに黙りこくり、一方的に話すことに不安を覚えてきた私が確認するように「…お休みを頂いてよろしいでしょうか?」とたずねると、ふっと鼻で笑うような音の後に
「オッケーす」
と彼は返しました。
あまりの衝撃に呆気に取られつつも「…ではよろしくお願いします、失礼致します」と言うと、彼はそこにかぶせ気味に「ハァイよろしくお願いします」と言ってすぐに電話を切りましたが、正直
「この会社とは長くは付き合わないぞ」とその時点で肚を決めました。
私自身が電話に関わる仕事の経験が長いので多少マナーに厳しいという部分はあるにせよ、これはホントに余りにひどい。
ただ「決まりだから」ということで相手のことを何も知らずに電話をし、その結果出た人間がそうした頭の軽い学生バイト店長みたいなノリの応答をしてきたとしても、別にそこまで驚きはしません。
まあそういう人もいるよね、程度で終わる話です。
しかし私は電話の相手がその会社においてある程度のポジションにいること、加えて任務に従事するメンバーに対し半ば感情的な熱い檄を飛ばして「真面目にやってくれている人に顔向けが出来ないから不真面目にやらないでくれ!」と切々と訴えかけていた人物だということを知っています。
なので、もうふつふつと湧き上がる「お前がな!」感を抑え切れません。
人に対してそれだけ堂々とご高説を書き連ねるのならば、まずそれ相応の自覚を自分自身も持つべきでしょう。「これだけのことを自分は言ったのだから、皆に対して決して恥ずかしい真似は出来ない」と。
それが普通の感覚だと少なくとも私は考えます。
年若だろうと立場が上だろうと関係なく、ビジネスの場において最低限お互いを尊重する為に守るべきマナー、礼節というものがあります。
それを弁えない、どころか恥ずかしいという認識さえ出来ないような人とは関わりを持ちたくありません。
…というかまず何よりも、体調不良で仕事を休むという連絡を入れた時にたとえ建前だけであったとしても、相手から「お大事に」のひと言をかけられなかったというのは人生初めての経験でした。
これまで色々な企業で色々な思いをしてきたけれど、マナーという一点においてはこの会社よりはるかにマシだったんだなぁと気付かされました
(まぁこれはもはや「人として」の域の話です)。
私が彼の上司であればもちろん指導しますが、そうではありませんので口を出す義理はありません。
そのような対応を平然と行なっているということは周囲もさして問題視していないということで、要は社内の教育が行き届いていないということなのでしょう。
私は正社員というものになったことがないので分からないのですが、そういったごく基本的な対人マナーが欠けている人間に対してどこかの時点で、せめて管理職に就かせる前の段階で会社は指導を行わないものなのでしょうか?
もう子供じゃないし会社は学校じゃないんだから…という理屈が聞こえてきそうですが、「学校出てんのか?」と言われてしまいかねない社員を採用して立場まで与えて、結果何かやらかした時にはそれが会社全体の恥になると考えれば、そんな悠長なことは言えないと思うのですが。
この事自体は些細なことかも知れませんが、私は今後もし知人などからこの会社について聞かれたり、企業アンケート等で触れるような機会があれば「管理職の教養度が低い」と評価をせざるを得ないでしょう。
その評価を耳にする、目にする人たちにとってそれは会社のイメージのひとつになります。
そして評価というものは総じてマイナス面の方が目につきやすい。それすら些細なことと切り捨てられるのか?
たった一人の社員のたった一度の行いで会社の印象全てが決まってしまうということは、非常に恐ろしくてとても残酷で、しかし同時にやむを得ないことです。
当事者の私にとっては事実なのですから。
まだ設立から十年と少しという新しい会社のようですが、個人的に先行きがちょっと心配です。
若い社員が管理職になるのはもちろん何かしら優れたところがあるからなのでしょうが、背景にはそれだけではなく「年齢的な中間層が少ない(いない)ために若手を抜擢せざるを得ない」という企業の事情もあるようです。
年齢的な中間層というのは私たち就職氷河期世代にあたりますが、当然新卒時の就職率は極端に低く、その後の中途採用なども厳しく結果的に非正規雇用に流れた人数が多いので正社員としての数が少ない。
本来ならば上の世代と下の世代の仲介役…上を助け下を育成する、それこそ管理職として活躍すべき年代でしょう。
そこのボリュームが足りていないので社内における年齢的なバランスが崩れ、主に人間関係の構築や指導育成などの面で悪影響が出ている。
それは企業だけではないですね、お役所も政界も同じです。
結局こうしてじわじわと氷河期世代のツケは大きくなって、あちこちの歪みはいつか取り返しのつかないところまでいってしまうのでしょう。
今回のことでまた少し考えさせられました。
それにしても年々若者との会話が苦手になっていきます。
口うるさいへそ曲がり老人への道まっしぐら。