いなかの主婦よりもの申す

地方在住いち主婦の気になるニュース論

人生再設計第一世代

どうやらそう名付けられたようです私たち。


本当に政府の方々、

何かにつけて「見て!」「聞いて!」と言わんばかりに大して目新しくもないものに妙ちきりんな名前をつけて大看板掲げるのがお好きなようで非常に鬱陶しいのですが、

そもそも何が元凶でこうなっているのかとか当事者たちの気持ちを考えるとか、そういうデリケートな諸問題を完全に無視して且つ土足で踏みにじって木っ端微塵にする、破壊的なまでに酷いネーミングをして下さっています。


それなりの人生経験を積まれたまともな大人の方たちの合議で決定するのなら、こんな人を馬鹿にした命名はなされないはずなんです。

一体どんなブレーンをお持ちなのか。


勝手に呼び方を変えてネガティブイメージを都合良く刷新しようとするのはやめて下さい。

せめて負の遺産ごと誠実に抱える努力と覚悟くらいして下さい。

どんな変な上書きをされようとも、私たちは今後も「就職氷河期世代」で変わりません。



確かに就職氷河期世代はろくに人生設計など出来ないまま中年になりました。

将来は生活保護から孤独死コース、出来ればその頃までには安楽死制度を国で認めてくれるといいなあ…と本気で考えるほど未来に希望を持てない人が多くいます。


けれど当事者が自らそれを口にすることは許されても、言わば「見殺し」にしてきた側の政治家たちが「人生再設計」などとお為ごかしに宣うことは果たして許されることでしょうか。


3年の時間と税金を使って何をしようとしているのか皆目分かりませんが、もうこのネーミングの「空気読めない感」からして救済策とやらの中身のマズさも分かろうというものです。


感覚のズレ、認識のズレ、方向性のズレ…当事者と政治家たちの間のこれら様々なズレは決してなくなりません。良し悪しではなく、経験した者としていない者との違いです。

ならばと就職氷河期世代の若手を引っ張り出してきて共感させて票を得よう等という策もムダです。

政治家になれる時点で共感出来る要素はゼロです。


そもそも政治に期待や希望を寄せるような可愛らしさは、就職氷河期世代はもはや持ち合わせていないのです。



四十前後で非正規雇用か無職の人を今さら正社員雇用しようと名乗りを上げる業界は、慢性的人手不足で何なら外国人に助けてもらおうとしている各種サービス業、介護、あとは運送ぐらいのものでしょう。

それでも救われる人はわずかでもいるかも知れません。しかし。


なぜ上記の業種が慢性的人手不足かと言えば、賃金が安い割に重労働であるという理解が世間的に広くなされているからです(だからこそ従事されている人は尊く、もっと見合った賃金を得るべき)。

就職氷河期世代でない人たちが敬遠した厳しい仕事を、就職氷河期世代に負担させる。もう若くもない世代に。


言葉でいくら「救済」などと取り繕っても結局実態はそういうことで、当事者の意思や希望などが考慮される形での正規雇用が叶うわけではないのです。

非正規や無職や引きこもりを無理やり人手不足の仕事に就かせることで生活保護費は浮く、税金は搾取出来る、業界に恩を売れる、一石何鳥にも自分たちの為になる。

政治家たちの思い通りになりこそすれ、就職氷河期世代の救いになるかどうか。


私たちにだって、大学を出たらあの企業に勤めて、格好良く仕事をして、出世して…という夢はありました。

叶わぬ夢を見ずに現実を見ろと言われても、それでも捨てられないもの、諦め切れないものもあります。

時代に夢を断たれ、失意のままその日その日を生きてきて、老いを感じる頃になってやりたくもない仕事に就く為に勉強させられる…それが果たして「救済」ですか?


もし本当にそんな形での対策しか講じられないとすれば、それは余りにもお粗末で余りにも残酷です。

楽しくもない人生設計を強引に押し付けられるくらいなら、生活保護をもらってマイペースにささやかな悠々自適を選ぶ方がマシと考える人も少なくないでしょう。


まあ、逆にもし名だたる大企業から正規雇用すると言われても、年下の上司から生温い視線を浴びせられたり、優秀な若手社員に気の毒がられたり(だけならまだしも露骨にいじめられたり)、ろくな事にならない気がして尻込みするしかないので、要は全て「今さら」なんですよね。


しかも「第一」世代ということは、続く「第二」「第三」を生み出すつもりなのか?

何を考えているのか、もう色々と怖いです。



就職氷河期世代=まるっと生活保護化を避けたいなら、3年かけてどうこうする予算をそのままそっくり分配してやる方がまだマシかも知れませんよ。


とりあえず貯金というものが出来ない経済状況の人が多く、健康問題など何らかの突発的なトラブルがあれば即生活保護突入となるので、少額を継続的にかまとまった額を一度にかで給付して、一時的にでも「救済」する方がよほど素直に感謝されそうです。