いなかの主婦よりもの申す

地方在住いち主婦の気になるニュース論

働き方改革とはなんぞや


新年早々、夫の会社の全体朝礼では「今年は厳しい年になりそうだ」という暗い話がなされたそうです。


そう聞いて何だか滑稽で思わず笑ってしまいましたが(笑い事でもない状況ですが)、いったいぜんたいニュースで目にするさして悪くもない景気の数字だの平均年収400万超えだのっていうのはどこの政府お抱え優良大企業に絞ってデータを取っているのだ? と悪態の一つも吐きたくなるほど実感として中小企業の現状は極めてよろしくない。


国民の大部分はその中小企業に勤めているのであって、ごく一部の優良企業の上層部の言う景気だとか給与だとか賞与だとかなんて話は聞いたところで胸が悪くなるだけで、参考にも何にもならないので情報として不要です。

なぜ中小企業の悲惨な実態を報じないのか? 

中小企業の給与、賞与、昇給、退職金の実態のデータをなぜ公にしないのか?

都合の悪いものや醜いものはフタをして隠してしまえという意図があるのでしょうが、それももう限界でしょう。



加えて夫の会社では「働き方改革」の流れに乗るということで昨年末から残業禁止状態とのこと。

しかし会社カレンダーで祝日は休日扱いになっていない為、祝日は普通に出勤(もちろん休日出勤手当もなし)。

→仕事は減っているけれど祝日に休ませるほどヒマじゃない。かといって残業手当も休日手当も出したくはない。


年末年始も、勝手に各自の有給休暇があてがわれる形でやっとの9連休。

→強制的に有給休暇を取らせるってそういう意味ではないのでは?



非効率、非合理、非条理、超のつくほどの会社ファーストでもはややりたい放題。

ちなみに基本給さえバイト並みの雀の涙な上に昇給もほぼ無いのに、これでどうやって安定した生活を送れと。

こうなると正社員という名の単なる飼い殺しです。


かといって転職を考えたところで近在の会社はどこもどんぐりの背くらべですので、結局田舎では余裕のある暮らしが出来るだけの収入を得るのは無理ということ。

そりゃいつまで経っても人口の首都圏一極集中状態が改善されない訳です。

地方民はもう全員都会に出てこいと?



未だもって「働き方改革」の意味するところが分かりません。

働き過ぎの日本人を休ませようという意図で「ノー残業」などとうたっているのであれば、その前に「ノー残業にしても暮らせるだけの賃金」を被雇用者に対して保証しなければ身も心も休まるどころか破綻します。


残業代込みでなければ全く余裕がないという水準の給与で働いている人は多いのです。

お上の指示だから従うという体なのか更なる内部留保に励む為なのか分かりませんが、そもそも社員に低い賃金しか払っていない中小企業が大企業のマネをして残業カットなんてやり出したら社員の生死に関わるので、経営者は無策の猿真似を始める前によくよく考えて下さい。


残業を減らそう、なくそうというのは、

「残業代が不要な程度の水準の賃金を得ていて尚、自分の意思とは無関係に会社都合で長時間労働を強いられてしまう」被雇用者とその雇用主にとって必要な救済の為の取り組みであるのが正しい形なのであって、賃金の不安定な弱小〜中小企業含めた全ての会社が前へ倣えで一律に行って良い取り組みではないのです。

少なくとも全社員に対して「残業などさせなくても労働に見合う恥ずかしくない額の賃金を払っている」という自負のある経営者でなければ迂闊に残業カットなどと言い出してはダメです。

残業を制限することが逆に社員を追い込むようでは仕組みとして成り立っていません。



そういう必要な説明の一切を省いてお得意の「口先だけスローガン」をやたらに言い募る誰かさん等のやっつけ仕事のせいで、まっとうに貧しく生きている国民が大迷惑を被るわけです(仕事なのかすら疑問ですが)。

しかも田舎は油断しているところに変な時間差で影響が来たりするので本当にタチが悪い。

上の方の人にはせめて「末端に至るまでの影響を予め考えてから動く」程度の冷静さは欲しいものですね。



さて新年早々「厳しい」と言い放った夫の会社の専務や取締役といったお歴々は、その同じ口で「正月休みはどこそこへ行った」という景気の良い旅話を披露していたそうです。

そのへんの神経がちょっとよく分からない。


安い給料しかもらっていない社員たちには相場の跳ね上がる正月休みに観光旅行に行けるような余裕は当然ありません。何なら帰省すら叶いません。

社員に払う金はなくても自分たちが遊ぶ金は惜しまない…なるほどまあそれが上に立つ者(の中でも程度の低い)の真理であるのかも知れませんが、それをお行儀良く隠しこそすれ大っぴらに社員の前で言ってのけるに等しい真似をするとは、表現するに相応しい言葉がなかなか見つからないレベルの無神経さです。


そんな経営陣。

彼らが考える以上に会社の未来は暗そうです。